後ろが染まってて

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 人はなぜ生きるのだろう。  そんな不安が付いてまわるようになったのは高校一年生の夏休みが明けてからだった。これがネットでよく見ていた厨二病というやつか。と、不安を覚えて初めの頃は呑気に構えていたが、それから数ヶ月が経って、年が明けても常に心の中に不安がある状態が続くと、さすがに気味が悪くなった。  冬休みが明けて三学期になってから、学校を休むようになった。正直に心の不安が消えないことを親に相談すると、適度な干渉をもって休むことを許可してくれた。  怪我や病気ではなかったが、外へ出ることをしなかった。ただ座って不安をじっと観察した。『幽霊の正体見たり枯れ尾花』といきたいところだったが、不安の正体を捕まえるどころか、その捉えどころのなさに戸惑うばかりで、かえって不安の不安さ足るゆえんを思い知らされる結果となった。  時に家族が遊びに連れていってくれた。俺は家族が嫌いではないので、それなりに楽しい気持ちになることができた。しかし、それでも不安が消えることはなかった。  いよいよどうにもならず、このまま人生を自らの手で終わらせるか、ぐらいのことまで考えていた春休みの終わり、友人の安田から電話があった。 「隼人(はやと)、相談事があるから近くの公園に来てくれ」  そうか。友人に相談する手があったかとその時初めて気づいた。同じ高校一年生という立場のクラスメイトなら俺の悩みをわかってくれて、分かち合ってくれて、なんとかなるかもしれない。  その電話に俺も相談があると話して、俺は近くの公園に向かった。 「隼人、なんだよ、相談って」  会うなり安田は俺に尋ねてきた。 「いや、電話してきたのは安田からだから、お前の相談が先だろ?」 「そっか」
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