福岡

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おばちゃんの家に行くと、親父は元気そうだった。 そして、おばちゃんも元気そうで。 「俊浩のおかげで兄ちゃんが戻ってこれた。本当にごめんね。ありがとう、俊浩。でも良かった、本当に良かった」 って。 目を潤ませて話されるから、僕まで涙が出そうになる。 俺はどうでもいいけど、みんなが幸せな顔を見るとやっぱ嬉しいね。 そして、おばあちゃん。 みんなに聞いていた通り、やっぱりもうボケてた。 僕が誰かすらわかっていない。 ただ、別に悲しくはないけど(笑)。 そもそも承知の上だし、おばあちゃんが幸せになるために必要なのは僕じゃない。 親父なんだから。 だからこそ思う。 いくらボケていても 「いくおちゃん」 と親父のことがわかるだけで。 僕はそれだけで幸せだ。 そして、お兄ちゃん家族と親父、僕で最後の食事をした。 久しぶりの久留米。 僕もヤクザに追われて、みんなに迷惑をかけて誰とも会っていない。 久留米の空気を吸うのも、食事をするのも久しぶりだ。 ただ、今いる場所よりも、みんなで居る空間が幸せで。 3年間離れて。 僕は少しでも成長できたのかな。 正直、自分が何をしたいのかも今分かっていない。 次の目標は何なのか。 そして、僕はどこに行けばよいのか。 ただ、この機会に僕は盛岡のアパートに電話をした。 「2月いっぱいで退去します」 と。 僕はもう一度旅に出る。 海外に行こうかな。 日本全国を回ってみようかな。 もう家族と一生会えないかもしれない。 ただ、その覚悟でやりたいことを見つけようと思って。 とりあえず、親父が福岡に戻れてよかった。 日記として書き留めようと思って始めたこの小説。 親父と一緒に住んでたから。 想い出の意味もあった。 けど、いっとき休みます。 ひ☆と☆さん 寝不足さん 風子さん ダナンさん まろもさん そして、2019年の前の小説から僕を応援してくださった方。 本当にありがとうございました。 たくさんの方たちに声をかけてもらい、本当に力をもらいました。 僕のなかで、今が一区切りのような気がして。 親父と一緒に暮らせた1年間。 本当に楽しかった。 幸せになってくれるかな? でも大丈夫。 親父を想ってくれる人がいっぱいいるから。 もしどこかで私の名前を見かけることがあったなら。 声をかけてください。 最後になりますが、幸せと勇気、ありがとうございました。
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