TV解禁

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「只今、もどりました~。疲れたー」 って、いつもの台詞を吐きながら未来の旦那様、19時に帰宅。 そして、いつものように、まず、シャワーを浴びる。 外仕事に就いている彼は、夏だけじゃなくて、通年、帰宅後はシャワーだ。 というか、彼の平日は、帰宅→シャワー→ご飯→休憩→湯舟に入るお風呂→勉強→就寝のパターンが確立されている。  シャワーを浴びて、着替えている間に、18時頃には帰宅する私がちゃちゃっとご飯をつくるわけ。ええ、冷凍食品、加工食品、スーパーで買ったお惣菜を駆使してですが。  48インチのTVがドンとかまえる前にね、二人分のご飯をのせたらいっぱいの小さなちゃぶ台的、テーブルがありまして、そこに千切りキャベツの上にコロッケ、卵焼き、冷ややっこ、お味噌汁、ごはん、を用意した。 「ありがと。いただきます!」 和樹はいつでも、礼儀正しく、美味しそうに食べるのだ。これに対して、文句はないのです、はい。 パクパクパクと二人で食べる夕食にも慣れてきた頃なわけですが、基本、この男は口数が多くない。たいてい私が喋ってる。私が話題を作ってる。それに対して、相槌をうったり、感想的なことを述べたりと、反応はまぁ、普通にしてくれるのだけれど、受け身なんだよねー。来ないのよ、自分からは。 だから、こうやって、私も無言でパクパクしていると、静かです。 静寂な御飯タイム。 えーっと夕ご飯ってこういうものだっけ? 実家での賑やかご飯風景を思い出してしまうんだな、これが。わいわいがやがや。 この10年は3人だけど、お母さんはノンストップで喋っているし、お父さんはTVから流れる話題にいろいろとケチをつけていた。私は会社での出来事を話したり、TV番組に出演しているタレントの説明をしてあげたり、3人それぞれ、各自きままにお喋りしながら、お母さんが作ってくれたご飯を頬張っていたわけで・・。 48インチのTVがさ、真っ黒な液晶画面が、僕をつけたら?って言っている気がするのは私だけ? この沈黙のご飯タイムにどうも違和感がありまして、冒頭の台詞につながるのです。 「TV解禁、お願いしますっ!」
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