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「あのー、TV禁止はやっぱり、やめない?」
朝昼晩の一日3食が理想的と言われる暮らしの中で、唯一、あなたと一緒に食事を行うことができる晩御飯。
だからこそかもしれないけれど、『食事中のTVはなしで、いいかな?』って、同棲生活開始直前に和樹が言い出した。
私と、彼とは3ヵ月前から、一緒に暮らし始めてる。
付き合い始めてからなら、すでに7年目、和樹は高校卒業後ずっと一人暮らしをしていたのだが、私は、生まれてこの方、27年間、埼玉県川越市暮らし。親元から離れたことがなかった。
同棲生活開始には理由があって、私が勤務する埼玉の川越支社がなくなってしまい、都内、池袋の支社へと移動になったことが一番の理由。通勤に時間をかけるのがすっごく嫌で嫌で仕方なくて。
和樹は学生時代からずっと、就職後も西武池袋線の江古田に住んでいたのだけれど、これを機にね、池袋から地下鉄でひと駅の要町に2LDK、二人の愛の巣を賃貸したわけです。
「・・・籍、入れないの?」
はい、2人の友人から言われました。
「ちょっと落ち着いてから入れるから! 大丈夫だから!!」
これは、私が両親にいろいろ言われる前に、先に言い放った言葉。
いえいえ、この度、和樹からも「結婚しよう」「籍、入れよう」って宣言はあったのです。
これをね、「まぁ、待て」と、そのプロポーズを袖にしたのは私なわけで。
だってね、27年、私、ずーっと両親と暮らしてきたわけです。弟もいるけど、アレは、高校卒業と同時に家を出たからね。
何が言いたいかと言うと、親元から初めて巣立つわけですよ。
ちょっと、自由というか、所属してないというか、独りというか、独りではないけど、1人という状態をかみしめてみたいじゃないですか。
それにね、7年、和樹とは付き合って、人となりとか、そりゃあもう、ちゃんとわかってはいるつもりだけど、一緒に暮らすと、男は変わるって言うじゃないですか。
1年間、結婚前のお試し期間的な同棲生活、試してみてもいいんじゃないかな、なんて思ったりしたわけです。のちのち後悔しないためにも。
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