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３
仕事斡旋所へ到着した俺。
仕事斡旋所は国から委託された民間会社が運営している。準国営企業ってかんじかな。
建物の中へ入ると、多くの人がいた。
就職先を探す人もいるが、自営業者が仕事を探しに来るほうが多いらしい。
俺の職業スキルは【無職】だから就職は難しいだろう。だから、俺は自営業者として仕事を請け負うしかない。
（お、庭の雑草処理か。報酬は１万ペイ。日本円で１万円くらいだな。草むしりくらいなら職業スキル無しでも何とかなるかも）
良さげな仕事依頼票を見つけた俺は、窓口へ持っていく。
「これ、請け負いたいです」
「はい。職業スキルカードをお願いします」
「持ってません」
「成人したばかり？」
「はい」
「ではカードを作りますので……あの、保証人は？」
そう。職業スキルカードを作るには、すでに職業スキルカード持ちの保証人が２人必要なのだ。
保証人か。両親には勘当されたもんな。親戚に頼むとしても、職業スキル無職の俺の保証人なんてしてくれるか？
その前に「は？ 両親に頼めよ」とか言われるだけだよな。
まあ、頼みに行くだけ無駄だろう。
「いません」
「失礼ですが、孤児とか？」
「まあ、そんなかんじです」
「あの、保証人に孤児院の先生とかは」
「ちょっと……無理かなと」
「もしかして、問題児でした？」
「いや、まあ」
「それは大変でしたね」
「大変なんです」
「いえ、孤児院の先生がです」
「……はい」
「しかし我々も鬼ではありません」
「え？」
「職業スキルによっては保証人無しでも何とかなるかもです」
「はあ」
職業スキルが無職でもか？
「ですので、ステータス開示をお願いします」
「えっと……」
「えっと？」
「ステータス、開示しないと駄目ですか？」
「はい。決まりですので」
こいつ、何を言ってるんだ？ みたいな顔の受付のお姉さん。
「笑わないでくださいね」
「笑う？ そんなに面白い職業スキルなんですか？」
「えっと……まあ、はい」
「笑いませんから、どうぞ」
「……分かりました」
ステータスを開示する。
どういう仕組みかは知らないが、相手のステータスを見たい人にステータスをオープンすると、自分のステータスが相手に見せれるのだ。
見せれるのはスキル名とレベルだけだけど。補足事項は本人しか見れないらしい。
「え？ 無職？」
「はい」
「……君は職業スキルが無職なのに仕事斡旋所に来たのね」
「……はい」
「……」
窓口から出てくるお姉さん。何だかすごく怒っているような。
俺、なんか怒らせたか？
ガシッ
「え？ は？」
お姉さんに顔面をつかまれ引っ張られ、そのまま建物の外に放り出された。
無様に地面へ転ぶ俺。
「痛い！」
「ペッ！ おととい来やがれ」
「え？」
俺に塩？ をまくお姉さん。
「うわっ」
おい、この対応は酷すぎるだろ。いくら俺の職業スキルが無職だからって。しかも痛いし。本当に痛いから夢じゃない。
くそっ！ 俺はどうしたらいいんだよ！
異世界転生者はスーパーチートスキルでウハウハ楽勝人生じゃねえのかよ。
俺はとぼとぼと公園へ行きベンチに座った。
グー
あー、腹空いたな。その辺の草でも食べるか。
そういえば、ステータスの補足事項に「あなたは神に選ばれた完全無欠の無職です。しかし」とか書いてたような。
しかし、のあとは何が書いてあったんだ？
ステータスを開いた。
【職業スキル 無職
レベル 10,000
補足 あなたは神に選ばれた完全無欠の無職です。しかし安心してくださいね。ただの無職ではありません。
（おい、どうしたら安心できるんだ？）
レベルに注目してください。
（うん。無職レベル10,000な。どんだけ最高な無職だよ、それ）
あなたに与えられた能力値は、何と10,000。その能力値は仕事には使えませんが、趣味や特技、体質改善等に使えます。
（え？）
大事なことなのでよく聞いてくださいね。
（いや、読んでるけど）
あなたは仕事で対価を得る事は禁則事項です。
（はい？）
仕事の対価として通貨物品を手にすると、あなたは地獄の業火により焼き殺されますので御注意を。
（はい？）
能力値のカスタマイズはいつでもできますし変更も自由です。しかし何でもはできません。当たり前ですね。
（いや、何が当たり前なんだ？）
では、良き異世界ライフを。説明は上司の神に「これ、やっといて」と書類を渡された私、女神のララ・スコールでした】
（女神？）
もう一度読み返す。
【職業スキル 無職
レベル 10,000
補足 あなたは神に選ばれた完全無欠の無職です。しかし安心してくださいね。ただの無職ではありません。
レベルに注目してください。
あなたに与えられた能力値は、何と10,000。その能力値は仕事には使えませんが、趣味や特技、体質改善等に使えます。
大事なことなのでよく聞いてくださいね。
あなたは仕事で対価を得る事は禁則事項です。
仕事の対価として通貨物品を手にすると、あなたは地獄の業火により焼き殺されますので御注意を。
能力値のカスタマイズはいつでもできますし変更も自由です。しかし何でもはできません。当たり前ですね。
では、良き異世界ライフを。説明は上司の神に「これ、やっといて」と書類を渡された私、女神のララ・スコールでした】
「なるほどな」
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