赤い花

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その日、空は赤に染まった。目もくらむような不快な色に。 その赤は人間までをも染め上げた。 赤に染まった人間は、身体のどこかに赤い花を咲かせ、誰かを探して彷徨い歩く。 その者たちを、人は『赤者(あかしゃ)』と呼んだ。 赤者に捕まると連れて行かれてしまう。赤者の身体のどこかしらに咲いた花が、人の身丈よりも膨れ上がり、そして、赤者ごと人を飲み込んでしまうのだ。 どこへ連れて行かれるのか、誰も知らない。ただ、ことが終わると醜く萎れた大きな花弁がそこに残るだけだ。 赤者を殺す術はない。猟銃で胸を撃たれようと、首を跳ねようと、いつの間にか元通りに治って、また探し人を求めて歩き始める。 どうして赤者が生まれるのか。赤に染まった空がどう関係しているのか。誰もその答えを知らない。 人々は赤者を恐れ、逃げ、身を隠すのみであった。
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