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2話
「もう別れよ」
「だってヤンデレだし。お前といると気疲れするんだよ。何で他の女子と話しちゃいけないわけ?それくらいの自由も俺にはないの?」
―――嗚呼、嫌だ。
付き合っていた彼氏が言った言葉―。
『ヤンデレ』。
その頃は、意味を知らなかった。
後に調べてわかったことは、
『好きな人への好意が大きくなり過ぎて、愛情表現が暴走してしまう様子』
そんなふうに思われていたんだ。
暴走なんてしていないじゃない?
私と付き合っているのに、他の女の子と楽しそうに話す、あなたが悪いでしょ?
―――それなのに、なんで。
「・・・・・・・・・い、おーい?石渡っ?」
「あ・・・」
「大丈夫?ぼんやりしてたけど?」
浜崎が私に声をかけてくれていたのにも気づいていなかったみたい。
「ん、大丈夫だよ!」
「ほんと?なら良かった!」
ほら、やっぱり浜崎は、あいつと違って優しいもの。
裏切らないよね、絶対。
その日の授業が終わって、掃除の時間に入る。私と浜崎は同じ班だから掃除場所も同じだ。
他の友達とふざけながら掃除場所に向かう浜崎を見て、そっと感情を消す。
嫌われないように、しなくちゃ。前のようなことにはさせない。絶対に。
鬱陶しいっておもわれないように。あくまでも、仲のいい女友達。今はそれで十分だ。
でも体は正直なもので、少しでも早く浜崎の近くに行こうとしている。
「ほらっ、早く行こ!」
「はいはい」
詩織の手を引いて掃除場所に向かう。すでに掃除を始めていた何人かが、私達に気づいた。
「遅いよー!早くしてw」
「ごめんごめんっ!」
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