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その時は「大袈裟な表現だな」と感じたものだ。
しかし後に知ったところによると、一般的な「尊い」とは少しニュアンスが違っていたらしい。オタク用語では「素晴らしい」とか「完璧」とか「最高」とか、そんな気持ちを込めて「尊い」という言葉を使うそうだ。
私は古臭い人間なので「尊い」と言われたら、普通に「高貴」の方を思い浮かべてしまう。「神々しい」とか「身分が高い」とか、そんな場合に使う言葉だ。
しかし……。
ある意味では、友人Kの「尊い」も、昔ながらの用法に則していたのかもしれない。
例えば冠位十二階もそうだが、古来より日本では、紫が高貴な色とされてきた。そして友人Kの部屋にあったフィギュアは、どれも髪が紫色で、衣装もそれ系統の色ばかり。
大袈裟な言い方をするならば、部屋が紫に染まっていたのだ。
友人Kの好きなタイプが紫キャラなのだろう。
ちなみに、最初に私が「どれも同じ」と思ってしまったのも、この「どれも紫だったから」という理由だった。
(「友人Kの好きなタイプは」完)
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