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真新しい校舎の片隅で、今日も加藤玲奈は囲まれていた。
玲奈の長い黒髪は毛先の黒染めが取れ赤くなり、光が当たると一部が金色に見える。肌も少し焼けて目つきは鋭い。,制服は真っ当な着方ではあるものの、歩き方も癖がある。
そんな玲奈を、不穏な雰囲気で同級生は囲んでいた。
「やい、元ヤンキー。キレて見ろよ。あんたなんてうちらに手をあげて退学になればいいんだ」
「どうせショボい田舎の出身のクセにィ。私立でやりなそうってのがスケスケなんだよ」
「ま、その足じゃ何もできなんだろうけれど、アハハハ」
同級生は玲奈の脚を見て笑う。安っぽい義足だからだ。
そして。玲奈は足が悪かった。喧嘩で片足をダメにしたのだ。だからグレることをやめざるえなかった。玲奈は別に心を改めた訳ではないのだ。シンプルに、グレる事が無理だからやめざるをえなかったソレだけなのだ。
「うるさいな高校生にもなってもいじめかよ。そっちこそダッセェんだよ」
玲奈は苛立ちを募らせながら舌打ちをする。それを見ていじめっ子達は蛇のような目つきでイヤラしく笑う。見た目は優等生の彼女たちは、ヤンキーを心から嫌っていた。だからこそ、玲奈への怒りは荒まずく、最初こそは仲良くしていたものの、その粗暴な喋り方や態度を知りすぐ寝返ったのだった。
「はあ!? グレてた人に言われたくないし。真面目に生きてる人間からとったら元ヤンだろうがヤンキーだろうがどっちもクズなんだよ」
「ねー? やめたら一般人になれたとでも思ってる? それ、勘違いだから!!」
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