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「小坂くん! 追試仲間の小坂くーん!」
「そんな不名誉を大声で叫ばないでほしいんだけど」
「大ニュースがあります」
「大ニュース?」
珍しく教室で声をかけてきた葉原さんに疑問と少しの緊張を感じながら僕は尋ねた。でも仲間と呼ばれるのは少し嬉しい。
「はい、一刻も早く小坂くんに伝えなければと馳せ参じました」
「それはありがとう。てかなんで敬語?」
「大事な話は敬語かなって」
ぴしっと小さく敬礼を取る葉原さん。設定がよくわからないが、報告をする部下を演じているのだろうか。
「まあいっか。それって良いニュース? 悪いニュース?」
「良いニュースでもあり、悪いニュースでもあります」
意味が分からず首を傾げる僕に、葉原さんは端的に答えた。
それは確かに良いニュースで悪いニュースだった。
「数学の追試、明日で終わりらしいよ」
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