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話を聞いたオーシャンとクレアは、顔を見合わせ言葉を探している様子だった。そんな2人に向かって、私は本心では望んでいないはずの願いを口にした。
「急なんだけど、どちらかの家にしばらく泊めてほしいの」
これをすることで、また姉を傷つけることは分かっていた。だが今、姉に裏切られたような怒りとやるせなさを抱えている私には、この選択肢しかないように思えた。
「俺の家に来ればいい」
一拍おいて、オーシャンが答えた。
「母さんと双子の妹がいるけど……。ちゃんと部屋はあるし、いくらでもいていい」
「エイヴェリー、オーシャンの家に何日かいて飽きたら私の家に来てもいいわ。両親はほとんど留守だし、しばらくの間は私1人なのよ」
クレアがむしろ来て欲しそうに言うものだから、それまで深刻な話をしていたのも一転笑い出しそうになった。
「分かった。オーシャンの家の次はあなたの家に泊まる」
「約束よ、絶対ね」
クレアが左手の小指を立てた。私はそれに自分の小指を絡めた。
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