3. オーシャンとシエル

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 1時間後、オーシャンの妹のシエルが帰ってきた。紺色のブレザーの下に、水色と白の爽やかなタータンチェックのスカートを履き、楽器の入った細長い黒いケースを右手に抱えている。元々のオーシャンの地毛と同じ明るいベージュの長い髪で、少し日に焼けたオークルの肌の姉と違い透き通るような白い肌、優しげなブラウングレーの目をした彼女は、私の姿を見てにこりと柔和な笑顔を浮かべた。 「あなたがエイヴェリー? オーシャンからよく聞いてるわ」  糸の様に細められる、シエルの目。とても優しい笑顔をしていると思った。オーシャンから聞かされてはいたが、シエルはオーシャンと全くタイプが違う。同じ双子でも、こんなに雰囲気が違うものなのか。 「そうよ、今日は急遽泊めてもらうことになったの。よろしくね」  ソファから立ち上がり、シエルの方に近づいて行って握手を交わす。彼女は泊まるという言葉を聞いても迷惑がるそぶりも見せず、シフォンケーキのように柔らかな笑顔で愛想よく微笑むばかりだった。 「こちらこそよろしく。お客さんが来て、ママもきっと喜ぶと思うわ」  シエルはそう言って、軽い足取りで自室に向かった。 「双子なのに、全然タイプ似てないわね」 「だろ? よく言われるんだ」 「あなたはボーイッシュだけど、彼女はすごくフェミニンね」 「見た目はな」  オーシャンは意味深な笑みを浮かべた。  間も無く制服から私服に着替えたシエルがリビングに戻ってきて、自分の部屋に遊びに来ないかと私に声をかけた。私は頷いて、彼女の後に続いて二階の部屋に上がった。  
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