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…忙しそうにプレゼントを配る金太郎。
その姿をサンタクロースは目を細め、見守っていた…
(人間の意識が出始めているな。
…そろそろ、か…)
サンタクロースは小さく息を吐き、目を伏せる。
そこへ金太郎が元気良く戻ってきた。
「よ~し、プレゼント配り終わりっと!
あんた、とうとう何もせんかったな。
ちょっとばかし、職務怠慢でないかい?」
「ホッホッホ~!」
「も、いいし…
あんた、それで70数年。
いろ~んな危機やらを乗り越えてきたもんね。
ホンット、お見事ですわ。
ンでさ~、ちょっとばかし文句言いたいんだけど」
膨れっ面で金太郎は、サンタクロースの前にやって来た。
「何だい?」
声のトーンは柔らかで優しい。
答えつつも右手は既に頭を撫でている。
「うぅ…これされてたら、言いにくくなっちゃうんだけどさ…
ま、イイや」
少しばつが悪そうに金太郎は目を逸らせ、話し始めた。
「日本生まれだからって、安直に“金太郎”なんてつけちまうからさ。
今し方、プレゼントを渡した後だよ。
ガキのヤロ~、名前を聞いて笑いやがって。
『後足で蹴ったろか』、なんて思ったけどさ。
あんたの顔が立たねぇから、ヤメたよ」
「ホッホッホ~!」
「…また、それかい…
も、イイや…
なんかさ、おいら『もうイイや』、『まあイイや』が口癖んなっちまってんだけど。
あんたのせいだから…っ…」
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