未来へ…

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…四ヶ月後… 大型特別養護老人ホームで、介護士として働いていた。 この施設は… 弟の正二と妹の梅子が戦後、設立したものであった。 兄妹は助け合って施設を運営し、子供夫婦に跡を継がせ… 数年前に、この世を去っていた。 後を継いだ甥・姪はサンタクロースが扮した“弁護士”より。 両親を交通事故で亡くし、身寄りの無くなってしまった“遠縁の子供”の話しを聞く。 その少年の顔が二人の親である、正二と梅子に似ている事。 話しに聞いていた“大金を置いて居なくなってしまった叔父”と、同じ名前である事。 この事で親近感を覚え、二人は快く身元を引受けた。 又、中卒と聞いた理事長(叔父さんと呼ばせている)は… 学費を援助し、正一を夜間高校に通わせてくれた。 申し訳なさそうにする彼へ、“叔父さん”は笑顔で「出世払いで返してくれよ?」と話している… …正一は施設の敷地内にある、寮母が居り。 食堂が設けられている独身寮に住んで居た。 …ここは県下で有名な、“スタッフ数を抱え過ぎ”の施設であった。 初代経営者の兄妹が、後継者であった現経営者達に言い聞かせた事。 経営理念である『あなたの喜びが、私の喜びです』 「入居者の方々が、笑顔で生活して頂ける為には。 生活のお手伝いをする、スタッフが心から笑顔で居なければ」 …この言葉を、現経営者達は忠実に守っていたのである。 スタッフ募集がされなくとも、この施設には毎週の様に求人の問い合わせがあり… 事務長である甥の息子が対応をしていた。 「看護学校に行きたい」、「資格を取りたい」と希望すれば叶う。
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