未来へ…

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“叔父さん”は一度言葉を切り、息をついた。 「『成人した後、私達は… 戦後、頑張って生きてきた方々の為に、何が出来るのかを話し合った。 そうして決めたのが、この施設を始める事だった』」 「人の為に残したお金だから、人の為に、ですか?」 未だ涙は止まらないが、正一は口を開く。 「『これこそが兄に報いる事ではないかと思った』と、父と叔母は言っていた」 “叔父さん”は笑顔のまま、話しを続ける。 「手紙に『お前達の喜びが、俺の喜びだから』とあるだろう? これは企業理念の『あなたの喜びは、私の喜びです』の、元となった言葉だ」 「『兄の“人を思いやる心”を継承したい』と、叔父と母は言っていたの」 “叔母さん”が涙の止まらない正一に、ハンカチを手渡しつつ言葉を続けた。 「ありがとうございます…」 ハンカチを受け取り、涙を拭い… 正一は再び額縁へと目を向ける。 「心の高さって言うか、あの… えっと…あ、“心懸け“?が凄いですね…」 言葉を余り知らない少年の気持ちを汲み、大人達は微笑した。 「この仕事は、お金と言う報酬を要求している以上は“偽善”だ。 だが…せめて行いは“人の為に成そう”と思う。 …父と叔母の受け売りだがね。 私達も、心からそう思っているよ」 「そうなんですね… ホンット、凄いや。 あ…でも、お金は大丈夫なんですか?」 理事長達からの返答に感動しつつも、正一は当初の疑問を口にした。 その言葉に、理事長達は悪戯な笑みを浮かべる。
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