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ドヤ顔の美里に、正一は無意識に身震いしてしまった。
「…おにぐ…はんにゃ…じゃない…
ねぇちゃ…でもなぃ、主任、だ…
まさか、コウモリみたいに電波出して、受信してる、とか?
“ちっちゃいオジサン”を使役して、施設中に放ってる、とか?」
正一の質問に美里は半目になった。
「ビビりながらも確実にっ、失礼な台詞が随所に散りばめられてるけど?」
「ヒィ、すっみませんっ!!」
怒られた正一は立ち上がり、ビシッと気を付けした。
食堂には大勢のスタッフが居り、笑顔で見守っている。
「出たよ。“主任に睨まれた正一”」
「主任がコワいのか、コワくないのか。
良く分かんないよね」
「い~んじゃない。
当人はビビりながらも、楽しそうだし」
…怒られ固まってはいるものの…
正一の口角は緩み、微笑していた。
(コワいのに、ねぇちゃんの事、ちっともキライじゃないんだ。
こうして…怒られるのも、キライじゃないし)
「…私のお説教、ちっとも効いてないわね」
「あ…ご、ごめんなさいっ」
頭に浮かんだ考えのせいで、目の前のお説教がお留守に。
それもしっかり、お見通しであった。
「ったく…仕方無いわね。
罰として“作業再開は一時間後”にします」
鼻先に人差し指を突きつけられ、正一はポカンと口を開けた。
「いやいや、休み…」
「過ぎじゃありません、君は働き過ぎです。
主任として命じます」
口調を改め、美里は“上司として命令”してきた。
「主任、僕が見張ってますよ」
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