未来へ…

9/10
前へ
/31ページ
次へ
「三分の一って、一体…」 「半人前以下って事よっ」 「「三分の一人前っ」」 美里の言葉がツボにはまり、周囲のスタッフ達は腹を抱え笑い出した。 「あ、ひっでぇ~、先輩達、皆わらってら」 周囲を見渡し、こぼす正一。 「悔しいなら、早く“半人前”になりなさいっ」 「“一人前”では?」 「“三分の一人前”の上は、“半人前”よっ! 全く、どこかしら、ズレてるんだから!」 「ご、ごめんなさ、い?」 怒られつつも、不思議そうな反応。 そんなズレっぷりに、周囲は更に笑う。 「ホンット、アンタってば… 根っからの、道化師よね」 「へ?」 呆れた顔をしつつも、見詰めてくる美里の瞳は優しい。 「“居るだけで、人を笑顔にする存在”って事。 これは生まれつき持った才能よ。 誰にも真似は出来ないわ」 「ほぉぉ、おいら、すっげ~」 褒められた事に気を良くし、正一はドヤ顔で胸を張る。 が…これも周囲にとっては笑いのツボであった。 「も、やめれ…」 「笑いすぎて、くるしっ…」 「たのむから、めし、くわせて…」 笑い過ぎて苦しそうなスタッフ達。 その様子に正一は悪戯な笑顔を浮かべ… 一番、笑い転げている男性スタッフの前へ。 「せんぱい~、大丈夫っすかぁ? キャント アイ ヘルプ ミー?」 学校で習ったばかりの英語を駆使し、(美里の前で)格好をつけてみた。 …つもりであったが… 「…それって、もしかして… 『お手伝いしましょうか?』って言ったつもりだったの?」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加