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「さっすが姉ちゃん、英語も分かるんだね♪」
美里の問いに、正一はドヤ顔で答えた。
「…アンタが留年無しで順当に卒業できるか、心配で仕方がないわ…」
「へ?なんで?」
「…兎に角、ちゃんと一時間休憩しなさい…」
再び両手人差し指をこめかみに当て、美里は食堂を後にした…
「ねぇちゃん、大丈夫だろか。
主任の仕事の、浮力?でしたっけ?
大変ですよね~。
早くに老けちまわないかな?
そうなる前に、おいらが貰ってあげないと」
副主任と向かい合わせに座るなり、正一は心底心配そうに呟き…
話しを聞くなり、相手は盛大にお茶を吹き出した。
「それを言うなら、圧力。
つまりはプレッシャーだよ。
ったく…お前と居ると、毎日が楽しくて良いな」
五歳年上の副主任は大きな手を正一の肩に乗せ、笑顔を向けた。
「おいら、皆さんがニコニコしてると、スッゴく嬉しいんだ!
だから、毎日、朝と寝る前に思う。
『今日は、どうやって喜んで貰おうか』
『明日は、どうやって喜んで貰おうか』って」
…何時も正一の通り過ぎた後には…
入居者のみならず、スタッフも笑顔になる。
彼は特に思考する事無く、無意識の内に“人の為に”と身体が動く。
そして…『笑顔にしたい』と、何時も想いやまない。
そんな彼は…幾年月経ようとも…
例え、姿が変われども…人々を笑顔にする事を喜ぶ。
サンタクロースの相棒、“愉快なトナカイ”なのであった…
ー終ー
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