18人が本棚に入れています
本棚に追加
大きな掌に乗った、紙袋。
受け取り中を見ると…
「か、カンパン!」
袋一杯にカンパンが入っていた。
「日持ちする物の方が、都合良いだろ?」
「うん!ありがとう!」
(食べ物と、甘い飲み物が、手に入った!)
食料が手に入り、漸く少年は気持ちに余裕が出た。
そうして、相手の顔に目を遣る。と…
「…おじさん、何してる人?」
(板切れを抱えて、ヘンだ…)
「ああ、コレか?
俺は、“サンドイッチマン”って言うのさ」
「サンドイッチマン?」
「身体を板切れに挟んで“サンドイッチ”してるから、そう呼ばれてる。
この板にな、広告を貼るんだ」
「へぇ~。でも、おじさん…
広告貼ってないよ?」
話しと様子の違いに少年は首を傾げた。
「“特殊な事情”ってやつさ。
ちゃんと人を見て、決めたいからな」
「ふぅ~ん。何か、難しいんだね」
少年は興味津々、と言った様子。
そんな少年へ男は笑顔でビラを渡した。
「そこで、君に相談だ」
渡されたビラへ目を落とし、少年は驚きの声を上げた。
「えぇっ!ひゃ…むぐっ」
言葉の続きは口元を大きな手で塞がれ、出せずにいたが…
「こら、町中で大声で喋って良い事じゃない。
静かに読め」
「う、うん…」
(“トナカイ募集?
契約金は…百万円”!
凄いや!これだけ有ったら、弟妹が大人になるまで大丈夫だ!)
最初のコメントを投稿しよう!