物語の始まり

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大きな掌に乗った、紙袋。 受け取り中を見ると… 「か、カンパン!」 袋一杯にカンパンが入っていた。 「日持ちする物の方が、都合良いだろ?」 「うん!ありがとう!」 (食べ物と、甘い飲み物が、手に入った!) 食料が手に入り、漸く少年は気持ちに余裕が出た。 そうして、相手の顔に目を遣る。と… 「…おじさん、何してる人?」 (板切れを抱えて、ヘンだ…) 「ああ、コレか? 俺は、“サンドイッチマン”って言うのさ」 「サンドイッチマン?」 「身体を板切れに挟んで“サンドイッチ”してるから、そう呼ばれてる。 この板にな、広告を貼るんだ」 「へぇ~。でも、おじさん… 広告貼ってないよ?」 話しと様子の違いに少年は首を傾げた。 「“特殊な事情”ってやつさ。 ちゃんと人を見て、決めたいからな」 「ふぅ~ん。何か、難しいんだね」 少年は興味津々、と言った様子。 そんな少年へ男は笑顔でビラを渡した。 「そこで、君に相談だ」 渡されたビラへ目を落とし、少年は驚きの声を上げた。 「えぇっ!ひゃ…むぐっ」 言葉の続きは口元を大きな手で塞がれ、出せずにいたが… 「こら、町中で大声で喋って良い事じゃない。 静かに読め」 「う、うん…」 (“トナカイ募集? 契約金は…百万円”! 凄いや!これだけ有ったら、弟妹が大人になるまで大丈夫だ!)
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