正一少年

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かつて… 世界で多くの戦争があった。 戦火の中、サンタクロースは。 子供達の笑顔と幸せを願い、世界中を飛び回った… プレゼントを配り終え、帰郷直後。 相棒のトナカイは倒れ、覚めぬ眠りについた… …相棒を亡くしたサンタクロースは、トナカイを求め探し歩いた。 が…故郷のトナカイ達は… 皆、彼の相棒と同じ様に倒れ、その存在は無き者となってしまっていた… それを機に… 相棒を捜し求め、サンタクロースは世界を旅する事となった。 …1945年8月15日、日本は終戦を迎えた… 戦後…親の居ない子供達は国内に数多居り、その日の食べ物に事欠いた生活を強いられていた。 サンタクロースは日本人に姿を変え、日本国内を回っていた、その時… …サンタクロースは賑わう闇市の中をサンドイッチマンに扮し、歩いていた。 (キング…中々、君の様な子は居ないよ) 「場所を変えるか…!?」 諦めの声を漏らし立ち去ろうとした、まさにその時。 足下おぼつかない様子の少年が視界に… 「ああ…見つけた…」 サンタクロースの瞳に涙が滲む。 その場に座り込んでしまった少年に、笑顔で声を掛けた。 「ホラ、食べなさい」 (腹が空いて、仕方が無いのだろう。 可哀想に…) 掌にカンパンを乗せ、差し出す。 「っ!?」 食べ物が目に入るなり、少年は手に取って一枚を口に押し込んだ。
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