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大体、後からニュータウンに家を建てた人たちというのは金銭的に余裕がある人ばかりで、件の石田家は病院経営しているらしいし、その取り巻きたちも夫が士業だの大企業の役員だのが勢ぞろいしている。
平均的な会社員の夫を持つ美穂たちからすると、住宅も車も何もかもがレベルが違い、「後から来たくせに、上から見下ろされている」ような被害者意識が湧いてきて仕方がなかった。
「何よりさ、あの人の服が受け付けられないのよ、いまだに」
ペットボトルの麦茶をコップに注いで、佳代子が不満げに言う。美穂もそれには同意だった。
石田絵里は常に全身、黒い服でかためている。
傍から見ただけでも、全てがハイブランドもしくは高級な生地であるのは、身に着けたことのない美穂にもわかるほどなのだが、とにかく黒しか着ない。
その黒も、美穂が持っているようなファストファッションの黒とは違う。
深い、濃密な黒なのだ。
祖母が大事にしていた喪服が、あんな黒――漆黒だったと思う。
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