第1章 僕の好きな人

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「失礼しました」 ケイタくんがケーキを1つ交換してくれた。 別のお客さんの相手してたのに、聞いててくれたんだ。 「この箱に詰めてみて。困ったら呼んで」 「はい」 箱詰め任された! ケイタくんが会計している間に詰めなきゃ。 「出来た?」 「一応入りましたけど……」 「オッケー、隙間にはこれを入れてケーキが動かないようにするんだよ」 そう言いながら、ケイタくんが箱詰めを完成してくれた。 「じゃあこれお渡しして挨拶して」 僕の最初のお客さん。 緊張しながら袋を差し出した。 「ありがとうございました」 お客さんの姿が見えなくなってホッとしていると、ケイタくんが褒めてくれた。 「よく出来ました」 「でも僕間違えて――」 「間違えて箱詰めする前にちゃんと確認出来たじゃないか。純くん若いし、ケーキの名前なんてすぐ覚えるよ」 そうだといいけど、早く覚えなきゃ。 その後も次々にお客さんが来て、列が出来てしまうと焦ったけれど、ケイタくんは終止穏やかに指導してくれて、あっという間にバイト初日が終わった。 すると店長がやって来た。
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