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「お疲れ様。純くん、お店に立ってみてどうだった?」
「はい、やってみるとわからないことが沢山あってご迷惑を……」
「そんなことないよ、真面目で意欲もあるから、すぐ仕事覚えそうで助かる」
「それは頼もしいわね」
僕が? 僕なんて全然。頼もしいのはケイタくんだ。
一緒に仕事したら、益々好きになっちゃった。
「今日は……2個残っちゃったのね。じゃあ純くん、これ箱に詰めてみて」
「はい」
うわっ、テストかな?
売れ残ってしまったケーキを2つ箱に詰めて、ちゃんと隙間も埋めて固定して、ドキドキしながら店長に見せた。
「これでよろしいでしょうか」
「うん、手際いいじゃない。じゃあそれ持ち帰って食べて」
「え、僕が頂いていいんですか?」
「お客様にケーキの味を聞かれることもあるし、ウチの味を知っておいて欲しいのよ。ケイタくんは一通り食べたわよね?」
なるほど。確かに味も知らないものを売るのはお客さんに失礼かも。
「2人とも今日はもう上がっていいわよ。またよろしくね」
「ありがとうございます。お疲れ様でした」
ケイタくんと一緒にロッカーに行って着替えて、一緒にショッピングモールを出た。
「純くんは、ここが最寄り駅?」
「はい」
「俺は電車だから、じゃあまた水曜日ね」
「はい、ご指導ありがとうございました。お疲れ様でした」
爽やかな笑顔で手を振って改札に入って行くケイタくんの後ろ姿を見送った。
ケイタくん、ずーっと優しくて、ずーっと格好良かったな。
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