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至近距離に啓大くんの顔がある。改めて美しいと思いながら眺めていた彼の唇が動いた。
「裏切ったら、あいつどんな顔するかな」
「わかりません……見てみます?」
「純くんって時々大胆なこと言うよね」
「大胆な僕は嫌いですか?」
「ううん。むしろ大好き」
啓大くんの指が僕の頬を撫でた。体まで滑り降りてくるのだろうかとドキドキし始めた時、呼び鈴が鳴った。僕らは驚いてベッドから起き上がり、啓大くんはドアに向かった。そしてのぞき窓から外を見て、苦笑いして僕に告げた。
「今日大だ」
さっきまで裏切ろうとしていたはずの啓大くんは、素直にドアを開けてしまった。
「おいテレビつけろ、すっげー可愛いポメが出てる!」
兄は一瞬で荷物整理をしていたふりをする僕のところまで飛んできて、テレビをつけた。続いて林もやってきた。盗聴していたのかと疑うタイミングだったけれど、テレビには本当に可愛いポメラニアンの赤ちゃんたちが映った。
「本当だ、可愛い」
「な? ほらこの子なんてクロスケそっくりだろ?」
「うん。隣の子はペコちゃんに似てるね」
ポメラニアンが映っていたのは数分だったけれど、動物番組の2時間特番が終わるまで4人でテレビを観た。
「皆可愛かったけど、クロスケに会いたくなっちゃったな。あーわしゃわしゃしたーい」
「ちょ、僕の頭……」
兄は犬の代わりに僕の頭をわしゃわしゃして顔を近づけ囁いた。
「上手くいっても簡単に体許すなよ」
え、やっぱり僕らの話聞いてた?
戸惑う僕から離れて、兄は窓辺に行った。
「おっ、吹雪止んだぞ。よし、林帰って寝よう。啓大と純も早く寝ろよ」
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