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そして2人は僕と林の目の前にカッコいいまま滑り降りてきた。
「純くん、見ててくれた?」
「はい。啓大くん、カッコよかった」
「純、俺は?」
「兄さんもカッコよかったよ」
「だろ? 林、いい写真撮れた?」
「はい、バッチリです」
「次は俺らが先に行く番だな」
あっという間に去っていく2人を見送って初級コースの方を降りて行くと、次の合流ポイントで兄と啓大くんが待ち構えていた。
「純くん、どんどん上手くなるね」
「林も上達したんじゃないか? ほら、この写真、2人ともカッコいいよ」
そう言われて見せて貰うと、確かに昨日見た写真よりだいぶ様になっていた。すると兄は言った。
「啓大、さっきの所がここの一番の急斜面だよな」
「ああ」
「じゃあもう上級行かなくていいや。それより4人で滑りたい」
「今日大は勝手だなあ。でも賛成だ。純くん、行こう」
軽く抱き寄せるように僕の肩を叩いて、啓大くんは僕たちの誘導を始めた。昨日と違って、彼の背中がハッキリ見える。ずっと追いかけていきたいと思える頼もしい背中が。
そして思い残すことなくスキーを楽しんで、僕らは東京に戻った。
「また連絡するね」
「はい」
途中の駅で降りた啓大くんを見送って振り返ると、兄と林がニヤニヤしていた。
「何か変だった?」
「いや、別に。おいニヤニヤすんな林」
「今日大さんの方がニヤニヤしてるでしょ」
その先の駅で林とも別れて兄と2人になると、僕は尋ねた。
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