42人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのプレゼントはいつ渡すの?」
「純、結婚記念日わかる?」
結婚式はしなかったから入籍した日かな。確か僕が養子になる為の書類を書いた翌日だったけれど――
「正確な日はちょっと……母さんは覚えてるかな」
「女の人は記念日大事にしそうだけど、どうだろうな。戸籍見ればわかるけど面倒だし、その日に全員揃ってお祝い出来るかもわかんないしなあ」
少し考えて兄は決めた。
「結婚祝い兼お土産ってことで、今日渡しちゃおう」
走り出した兄を追いかけて家に辿り着くと、母とクロスケが迎えてくれた。
「恵さん、ただいま。クロスケーただいまー」
兄は僕と兄に交互に飛びついてはしゃぐクロスケを抱き上げて僕に渡した。
「クロスケ、寂しい思いさせてごめんね」
クロスケを抱きしめてリビングに行くと、継父が待っていた。
「お帰り。スキーはどうだった?」
少し心配そうに尋ねる父に、兄は答えた。
「楽しかったよ。写真いっぱい撮ってきた」
大きなテレビ画面に映し出された僕はやっぱりカッコ悪かったけれど、母は嬉しそうだった。
「凄いわ純、ちゃんと滑れてるじゃない」
「純くんは初めてだったんだろう?」
継父に言われて、僕は答えた。
最初のコメントを投稿しよう!