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「うん、僕もそう思ってたんだけど滑っていたら小さい頃に一度だけ行ったことがあるのを思い出した」
驚いた顔をする母に、僕は言った。
「あの時も楽しかったけれど、今回はもっと楽しかったよ」
「そう……良かったわね……」
目を潤ませつつ微笑んで、母は尋ねた。
「今日大さんの動画はないの?」
「恵さん、見たい?」
「もちろんよ」
「じゃあ見せちゃう」
兄は喜んで林に送って貰った動画を流した。啓大くんと2人で滑っている動画だ。あー啓大くん、やっぱりカッコいい。
「今日大さん上手ね、プロみたい」
「恵さん、褒め過ぎ。あーでもこの後ろのやつはホントにプロ級だよ。なあ、純?」
え、ちょ、止めてよ、挙動不審になる!
「う、うん。凄く上手で優しく教えてくれたんだ」
「俺も優しかっただろ?」
「えー兄さんは違ったよ」
「わかってないなあ。他人じゃないから敢えて厳しいことも言うのが兄の優しさってもんだ」
「えーそうなの?」
「そうだって」
笑いながら言い合う僕らを見て、継父が呟いた。
「今日大もスキー楽しかったんだな」
兄は真っすぐ父を見て答えた。
「ああ。俺、ちゃんと楽しめたよ。2人にお土産買ってきた」
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