最終章 君となら、きっと

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スキーに行った翌週の日曜日、僕は啓大くんといつもの公園で待ち合わせた。 いつものようにクロスケを連れて、いつもと同じ道を歩いて行く僕の胸はいつもより高鳴っていた。 いつもと同じだけど、今日は初デートだから。 兄が起きる前に急いで家を出たから待ち合わせより20分も早く着いてしまったけれど、啓大くんの車は既に駐車場にあって、僕が近づくとドアが開いた。 「純くんおはよう、早いね」 「おはようございます。兄に見つかる前に出てきました」 「あー、からかわれそうだものね」 優しく笑う啓大くんは僕が編んだ帽子をかぶってくれている。 「今日も寒いですね」 「そうだね」 寒さを言い訳に身を寄せたら、啓大くんのコートに手の甲が当たった。人前でこれ以上近づいたらダメだって、僕は一歩離れたけれど啓大くんは大きな手で僕の背中に触れてくれた。 「じゃあまた後で」 「はい」 しばし別れて啓大くんはユキオを連れて大型犬のドッグランへ、僕はクロスケを連れて小型犬のドッグランへ。するとすぐに携帯が鳴った。啓大くんからだ。 『この後、何処に行く?』 そんなこと聞かれたの初めてだし、そもそも同じ公園にいるのに連絡がくるなんてことも初めてで嬉しい驚きに固まっていると犬と一緒に入れるおすすめの店のリストが送られてきた。 『日曜日は混んでるかもしれないから近い所から順番に行ってみようか』 『そうですね、行ってみましょう』 今日は公園で終わりじゃなくて、まだ続きがあるんだ。走り疲れたクロスケを抱いて啓大くんたちの方へ行くと、ユキオくんもドッグランから出ていた。
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