最終章 君となら、きっと

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「お昼にはまだ少し早いけど、行こうか」 「はい。早めの方がお店空いてますよね」 けれど最初に行った店も次の店も既に満席で、ようやくお店に入れた時には丁度いい時間になっていた。 「結構遠くまで来ちゃったね」 「僕、この辺りに来たの初めてです」 「俺もいつも通り過ぎるだけで降りたのは初めてだよ」 つまりここなら知り合いに会うこともないだろうから安心だ。広くて綺麗なお店だし、ユキオくんとクロスケも気に入ったみたいだ。 「2人きりで食事するの久しぶりだね」 「そうですね。こんな風にお店で向かい合って座るのはバイトしていた頃以来ですよね」 「うん。俺さ……」 啓大くんは少し顔を近づけて小声になった。 「純くんのこと最初にお店に来てくれる前から気になってたんだ。いつもケーキ見ながら素通りするだけで買いに来てくれない可愛い子がいるなあって」 ええーっ、僕が見てるの気づいてたの!? 「あの日はコスプレでハイになってたからいつもより大きな声で呼び込んだ。一度食べたらまた来てくれるんじゃないかって期待してたけど、まさか一緒にバイト出来るとは思わなかったよ」 「バイト探してたら募集広告見つけて絶対ここにしようって……あの……僕もずっと気になってたんです。素敵な店員さんがいるなあって」 最初に惹かれたのは声で、ケーキを見る振りをして啓大くんを見ていたと小声で伝えると、啓大くんは驚いた。 「じゃあ俺たち最初から……俺が今日大だったら最初のクリスマスにはもう付き合ってただろうな」 「それはないです。兄はタイプじゃないんで。昨日も酔って帰って来て純、お土産って――」 寝ている部屋に入って来て変なカプセルトイを枕元に置いていかれて迷惑だったという話をした後、僕は尋ねた。
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