最終章 君となら、きっと

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「啓大くんもお酒飲みますか?」 「付き合いで飲むことはあるけど、あんまり好きじゃない」 「じゃあ酔っぱらうことは――」 「うん、滅多にない。でもこの前父親と飲んで……自分では酔ってないつもりだったけど多分酔って……自分がどういう人を好きになるのか話しちゃったんだ」 久しぶりにお父さんと会って普通に話せたとは聞いていたけど、そんな話までしたのか。 「……大丈夫でした?」 「うん。同性婚が認められている国で長く暮らしてきたから、大して驚きもしなかった」 「そうなんですね……え、今お父さんって……」 「日本に帰って来てる」 啓大くんのお父さん……どんな人なんだろう。 「じゃあこれからも会えますね」 「うん。会うまでは今更って思ってたけど……これからも時々会おうって言われて素直に頷けたよ」 お父さんには同性婚した友人もいるそうだ。彼らの話の他にも海外での暮らしについてお父さんから聞いた話を、啓大くんは僕に色々話してくれた。そして僕らは楽しい食事を終えて店を出た。 「ここまで来たらもう少し遠くまで行ってみない?」 「はい。もう少し遠くって……」 「俺とユキオのお気に入りの場所」 どんな所かは着いてからのお楽しみということでまた車に乗って、着いたのは公園だった。でもいつも行く公園とは全然違う。 「あ、海! クロスケ、海だよ」 「クロスケくん、海好き?」 「どうかな……初めてなんです」 「そっか。砂浜にも降りられるけど、今の季節はやめておこう」 そう言って啓大くんが連れて行ってくれたのは高台だった。そこからももちろん、海が見える。それに――
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