第1章 僕の好きな人

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でも行く当てもお金も無いから、図書館に行って本を読むふりをしながら考えた。 わざわざ僕に報告したってことは、結婚を考えているのかな。 母には幸せになって欲しい。 でも母が結婚すれば僕は自動的に知らないオジサンの息子になってしまう。 ――うん? 本当にそうかな。 調度図書館にいるから調べてみたら、そうでもなかった。むしろ相手が養子縁組しなければ僕は息子になれないらしい。 それはそれで不安だな。 あ、相手にも子供がいるかもしれないな。 血の繋がらない兄弟なんて、父親以上に厄介かも。 そうじゃなくて母よりずっと年下の男性って可能性もあるかな。 だったら、ちょっと嬉しい? いやいやいや、そんなの余計に困ってしまう。 無理だ、どんな人が来ても仲良く一緒に暮らせる自信がない。 うだうだ悩んでいる間にお昼になって、お腹が空いたからハンバーガーを食べに行ったら、店頭に置かれていたアルバイト情報誌が目に入った。 今日みたいに家にいられない日が増えるとしたらお金が必要だと気付いた僕は、それを手に取り食事しながらパラパラとめくってみた。 クリスマスシーズンの短期募集が結構ある。 でもクリスマス嫌いだし、浮かれた客を相手にするのは――うん? 見つけた! 駅前のショッピングモールの、あのケーキ屋さんの名前! へー、短期だけじゃなくて普通に募集してるんだ。 ここでバイトをすれば、彼と一緒に働けるってこと……?
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