あの日の金色

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 次の日の夜。試合の後で疲れているはずなのに、美里が病室にお見舞いに来てくれた。足を動かせないため、ベッドの上から彼女を迎える。  正直に言うと、世界で一番顔を見たくなかった。  「足の具合大丈夫?」  「……」  「私なんでもするから一緒に頑張ろう」  「……余計なお世話だよ」  自分でも驚くほど冷めた声が出て、美里が泣きそうなくらい顔を歪めた。ひどいことを言った自覚はあったが、どうしようもなかった。大好きな友達なのに傷つけたくて仕方がない。ずっと心の箱に閉まっていた彼女への嫉妬心が全身に溢れ出す。私は美里を強く睨み、さっきよりも強い口調で叫んだ。  「美里に一体なにが分かるの!?誰よりも才能があって、いつも順風満帆な美里に私の気持ちなんて分かるわけないじゃん。軽々しく言わないでよ」  美里が苦しそうに目を瞑って、俯いた。彼女のおろした髪が黒い霧のように顔にかかり、その霧からポツリと雨が降る。  試合に負けても絶対に泣かない美里が声を殺して泣いていた。  その姿を見て、私も水道管が破裂したみたいに、涙が溢れて止まらなくなった。筋肉質な太ももに冷たい水滴が落ちて大きな水たまりができる。    「何を言われても、私はずっと待ってるから」  美里は震えながら呟き、持っていたビニール袋を机の上に雑に置いて、病室から出て行った。  残された私は、きつく固定された左足を見つめる。  小さい頃から努力して上を目指した結果がこれ。神様が諦めろと言っているようなものじゃないか。  彼女の持ってきてくれたビニール袋が机から落ち、私が大好きなチョコレートと彼女のお気に入りのグミが床に散らばった。    
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