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【合格】と書かれた手紙を握りつぶして、両手を天井に向かって突き上げた。
待ちに待った合格通知。やっと、やっと、君に伝えられる。受験勉強と恋の両立なんて私には無理だから、と言って待たせていた君の元へ行ける。
今すぐに、飛んでいけたらいいのに。飛べなくても、心は空を舞うようなこの高揚感。
合格通知のせいだけじゃない、絶対に君への想いが私を宙に浮かせている。
桜色のお守りを握りしめて、写真を撮る。君に届け、この吉報。
▽
隣の席のよくふざけるクラスメイト。それが、いつのまにか目が離せない人になっていて、今では好きな人だ。
不思議なこともあるもんだな、とか思いながら君を見つめれば微笑みが返ってくる。心臓が私の体の中で好きだと騒ぎ立てている。
「俺のこと好きになっちゃった?」
それが君のいつもの口癖。素直に返せればいいのに、いつだって私はムッとした顔でその言葉を冗談にできないでいる。ううん、正しくは冗談にしたくないからだ。でも、その日は違った。多分、眠かったせい。疲れてたせい。
あとは、君がいつもと違う髪型でカッコよく見えたせいだと思う。
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