恋は受験の後で

2/6
前へ
/6ページ
次へ
「うん、好きだよ」 「おーじゃあ、付き合っちゃおうか?」  かたん、という音と共に目の前には君の顔。 「む、むりむり、尊い」 「えー? 好きだよって今言ったのに」 「そうなんだけど、近い近い。それに、付き合うのは無理」 「は?」 「受験勉強あるし、私両立できるほど器用じゃない」 「俺、待てるほど気が長くないけど」  いつもの軽い冗談だったはずなのに、なぜか本当に付き合う話になってるし。意外に君の耳は真っ赤に染まってるし、嘘、嘘だ、嘘だ、君も私を好きになってくれてたってこと? 「待って待って、本当に言ってる?」 「ずっと本気だよ、こんなにそばにいるのに気づいてなかったの?」 「だって、冗談だと思ってた」 「いつだって、本気でタチバナのこと見てた。だから、受験が終わるまでとか言わずお付き合いしてください」  ぐうっと息を飲み込む。志望校の判定はC。頑張れば行けるかもしれないけど、頑張らないと確実に無理は範囲だ。  私だって成山くんのこと好きだし、付き合いたい。でも、こんなふわふわで今後を棒に振っていいものか。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加