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殺ってしまった少年と見ていた少女
空は真っ暗。
強い風が吹き荒れ、大量の雨が降っている。
一本の小さい橋がありその下には川がある。川は大きく荒れている。
十代前半の小太りな少年が橋の手摺りを掴んで下を見ている。彼は片腕に腕時計をしていて、ネックレスを身につけている。少年は体をガクガク震わせて早口で呟き始めた。
「悪気はねぇんだ。ちょっとふざけて、あいつを後ろから押しただけなんだ。俺もあいつもかなり酔ってたから、天気が悪いのに気付かなくて」
少年はそこまで言って思った。
(こんな悪天候じゃ、すぐにあいつは流されて絶対に見つからない。これは断言できる)
「何してるの?」
少年が横を向くと傘を持っている十代前半の少女が立っていた。
「私、見たよ。あなた、友達を橋の上から突き落としたでしょ?」
少年が懇願した。
「誰にも言わないでくれ! 頼む!」
少女がにっこり笑って言った。
「三つのお願いを聞いてくれたらいいよ」
少年はこくりと頷く。
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