聖騎士流、慰められ方 ★

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聖騎士流、慰められ方 ★

 アンナはどうしてこうなったのか理解できず、混乱し戸惑い焦っていた。そしてものすごく恥ずかしかった。震えてしまうのは薄着のせいではない。 「あぁ……すごくきれいだね。とっても似合ってるよ、アンナ」 「……うん……ありが、とう……?」  反射的に礼を言いかけて、礼を言ってもいいのか戸惑う気持ちが語尾に出た。尻上がりな語尾など気にもせず、リュカエルは熱く蕩けるような眼差しでアンナを凝視する。 「ねぇ、アンナ……側に来て? 近くで見せて? 僕を甘やかして慰めてくれるって約束したでしょ?」 「で、でも……」  アンナはもじもじと躊躇った。リュカエルの瞳の縁が赤みを帯びて、優しい笑みにどこか鋭さがある。本能的に危険を感じる、色香を薄く纏うリュカエル。赤くなっている自覚のある顔を俯けて、両腕で必死にどうにか隠そうとした。 「ダメなの? すごくきれいだよ? 僕のプレゼントした下着も、シミーズもすごく似合ってる。うふふ、エリスコア領の絹糸なんだ」 「……すごく、希少なものだって言ってたわ……それなのに、こんな風に使っていいの……?」 「もちろん、全然問題ないよ」  問題しかないだろ。アイギスは転がされた床から、諦観に天井を見つめながら沈黙していた。  エリスコアの絹糸は、神託を受ける聖紙にも使われる希少なもの。ドレスはまだしも、下着はない。全く。笑顔の裏で奥歯でも噛み締め、必死に飛びつきたいのを堪えていることが、簡単に想像できる。アイギスはもう今日は早めに天井の模様を数えることにした。  寝台に腰掛け両手を広げ、ニコニコとアンナを待っているリュカエル。子犬のような無邪気な笑みに、アンナはちょっと警戒を解いた。そろりそろりと少しずつ歩を進める。あと一歩まで恐る恐る近づいてきたアンナを、リュカエルが聖騎士の動きでガバリと囲い込む。ピャッ!! と驚いたアンナをしっかり抱きしめてから、リュカエルは手のひら全体でゆっくりとアンナを撫で回した。 「……手触りもいいでしょ? とっても丈夫なんだ。それにすごくきれい……」 「……うん」  ため息のような掠れた綺麗。まるで自分に言っているように聞こえて、アンナは照れて俯く。そんなアンナをリュカエルは、熱っぽい視線で熱心に見つめた。手のひらは絶え間なくアンナの身体を撫で回している。エロい手つきで。 「……あのね、リュカ。聞いていい……?」 「なーに?」  シミーズの手触りとアンナの肌を堪能しながら、熱心にスンスンと匂いを嗅いでいたリュカエルが、うっとりと夢見心地で生返事を返した。アンナは撫でられるたびに漏れそうになる、吐息を噛み殺しながら至極当然の疑問を投げかけた。 「これが慰めになるの……?」  ピタリと手と匂いを嗅ぐのを一瞬止めたリュカエルは、ゆっくりと顔をあげると無邪気そのものの笑みを閃かせた。 「うん。すごく慰められてる。こうしてるとね実感できるんだ。アンナが僕を受け入れてくれてるって。不安なんだ。僕は異国の踊り子の血が混じった卑しい血筋だから……」  読み聞かせ仕込みのポツンと落ちるような、悲しげで寂しげな声。アンナがハッと息を呑み、アイギスは海より深いため息をついた。何言ってんだこいつ。 『……シミーズ姿にする必要性がない』  どこにも。欠片ほども。やり直し。アイギスは真顔になったが、アンナは残念ながら違ったらしい。みるみる瞳を潤ませて、リュカエルを抱きしめた。 「そんなふうに考えないで! リュカほど優しくていい子はいないわ! それにこんなに美しい。リュカがこんなに美しいのは、お母様譲りなんでしょう? 誰もがリュカに見惚れるわ。人に貴賤なんてないの! 神もそう仰っているわ!」 「そう言ってくれるのはアンナだけだよ……でもいつか嫌われるっていつも不安になるんだ……」 「そんなこと絶対にない!」 「本当……? 僕の全部を受け入れてくれる……?」 「ええ、もちろんよ」 「嬉しいよ、アンナ……」  本当に。ぎゅっとアンナをリュカエルが抱きしめ、吊り上がる口元を隠した。ピッタリと密着したアンナは、そこでようやく気づいた。リュカエルとアンナの間に挟まる異物に。  これまでの話の内容的に、しょんぼりしているはずのモノはバッキバキだった。引くほどに。血管が浮いてどくどくと脈打つそれに、アンナは怯えたようにリュカエルに瞳を縋らせた。 「リュ、リュカ……ダメなの……あ、赤ちゃんが……」 「うん、安心して。我慢できるって言ったでしょ? ……でも、お手伝いはお願いね?」  アンナの茶金の瞳を覗き込みながら、リュカエルは優しく囁きゆっくりと口付けを深めた。アイギスは愛し子がもう助からないことを悟った。 ※※※※※ 「リュ……カ……だめ……もう……だめ……」 「あぁ……アンナ……こんなに……」  下着の中に蠢くリュカエルの長い指が、溢れ出した蜜を塗り込めるようにぬりぬりと花芯を撫で回す。指の腹で押し上げられ、盛り上がった蕾が中指の腹で圧迫される。にゅるりと硬くなった蕾が圧迫からコリッと逃れた刺激に、アンナが弓なりに背を逸らして嬌声をこぼした。 「あああーー! あっあっあっ」 「アンナ……かわいい……もうイッちゃう?」    アンナの嬌態に舌なめずりしながら、なおも執拗に花芯を捏ね回す。リュカエルは色香を含んだ艶のある美声をアンナに吹き込んだ。 「好きだよ、アンナ……」  ぞくっと震えた鼓膜。同時に圧迫されながら擦り上げられる快楽。丁寧に高められていた快楽が弾けて、アンナは絶頂した。 「ああああーーーーー!!」  ガクガクと震えるアンナを愛おしそうに見つめながら、リュカエルは何度も何度もキスを落とした。匂いも嗅いだ。ぐったりと弛緩したアンナを優しく撫でながら、リュカエルはそっと身を起こす。 「あぁ……もうトロトロだね……」  エリスコアの絹糸の下着の有り様に、リュカエルは嬉しげに瞳を細めて手を伸ばした。するりと紐が解ける感覚に、アンナは舌足らずの声を上げる。パサリと寝台の下に落とされた下着は視界から消えてしまった。 「リュカ……しないって……」 「大丈夫、しないよ。ただちょっと分けてもらうだけ」  分ける? きょとんとしたアンナは、すぐに何を分けてもらいにきたかを知った。熱く滾るような熱が押し付けられ、溢れてこぼれ出たぬめりで、まだ過敏なそこをリュカエルがずりずりと行き来し始める。押し付けているそこを見つめながら、リュカエルが熱い吐息をこぼし始めた。 「え……あ……リュカ!」 「嬉しいアンナ……こんなになるくらい僕を欲しがってくれて……」  全く予想もしていなかった行動に、アンナは慌てふためいた。反射的に逃げようとするアンナの肢体に身体を押し付け、細い手首を捕まえる。尚も堪えられないように腰を揺らしながら、リュカエルは熱っぽく細めた瞳でアンナを見下ろした。 「ダメ? アンナ……」 「リュ、リュカ……」  完全にパニック状態であわわわしているアンナに、リュカエルは選択肢をくれた。捕まえた両手を引き寄せて、どくどく脈打つ凶器に導く。与えられる選択肢は必ずしもマシになるわけではない。  もう限界が近いのか子犬の皮はすっかり剥がれ落ち、飢えた獣がギラギラと欲望を激らせた瞳を光らせる。ペロリと唇を舐めると口元を引き上げた。 「なら握って?」  呆然とするアンナの手に己を包み込ませ、片手でしっかりとその手を固定すると、アンナの蜜の助けを借りて腰を振り始めた。声も出せないまま固まっている、アンナの顔の横に片肘をついて身体を支え、スンスンと首筋に鼻面をすり寄せる。 「ん……はぁ……いい……アンナ、気持ちいい……アンナの匂い……好き、アンナ大好き……」  スンスンと嗅ぐ間に擦り寄った耳朶に喘ぎをこぼす。ぬめるリュカエルを握らされ、ずりずりと自分の手に擦り立てられる光景を、アンナは呆然としたまま見つめていた。アンナの手を固定するリュカエルの手が、ぬるぬるとぬめりながら擦り合わされ、素音たびにぬちゃぬちゃと音を立てた。 「はっ……いいよ……気持ちいい……ねぇ、アンナ……いつもこれで奥までアンナを犯してるんだよ……」  吹き込まれた声に、ゾクリとアンナの肌が粟立った。キスの合間に喘ぎを聞かせ、熱くなったリュカエルの身体から、筋肉の筋に沿って汗が滴る。 (なんか……すごく……)  アンナの鼓動がどくどくと速度を上げ、顔が熱くなるのを感じた。リュカエルの固く張り詰めたソレを握る手に、わずかに力がこもる。 「あぁ! アンナ、いい……イッちゃう……もうイッちゃう……アンナ! アンナ!」  手の中でグッと硬さを増し、膨れ上がるのを感じた。そのまま腰を揺らしたリュカエルが、頤を逸らせて声を失い、熱い飛沫が飛び散る。ビクビクと手の中で震えるリュカエルを掴んだまま、アンナは未知の体験に呆然としながら、荒く息をつくリュカエルの吐息を聞いていた。  切なげにアンナに瞳を向けたリュカエルが、アンナに口付けを求める。食むようなリュカエルの口付けに、ドキドキと鼓動が落ち着かない。 (すごくエッチなことをした……気がするわ……)  ご機嫌でスンスンと匂いを嗅ぎながら、アンナを抱きしめるリュカエル。アンナはひどく恥ずかしい気分でいることを、気付かれないように願った。  遠い目をした床に転がるアイギスと、おかわりをねだるタイミングを図る獣。何やらやけに恥ずかしくて、顔を上げられない子うさぎ。エリスコアの夜はゆっくりと更けていく。  ひどく汚してしまった下着は、その日以来アンナの手元に戻ってくることはなかった。
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