炎火《ほむらび》

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車を走らせていると 途中から車が渋滞し始めた 「チッもう少し早く終わってたら クロスの柄合わせに 手間取り過ぎたクソ!」 俺はイライラしながら タバコに火をつけ吸い ながら ノロノロとしか動かない車にウンザリした 何気に窓の外の小高い山を見た 西日が落ちているがまだ明るい その時、俺は目を疑った 「嘘!何だありゃ なんで燃えながら丸太が 落ちて来てるんだ!」 燃えながら丸太が 真横のままゴロンゴロンと 転がり落ちている 落ちる下には住宅地が広がっている 「やべぇ!大火事になっちまう 一体誰がこんな事しやがるんだ 119に電話しないと!」 俺は慌ててスマホを取り出し 電話をかけようと したその時、燃える丸太が消えていた 「えぇっ落ちたのか!」 火を探したが何処にも見当たらない 暫く見ていたが 煙も見えない 周りの車を見たが 誰も気づいていない様だった 「どう言う事なんだ?見たのは俺だけなのか? ありえねぇ」 車が少しづつ動き始めた 気になりバックミラーで 山を見ながらゆっくりと走り出した 「気のせいか?見間違いか? うん そうに違いねぇ」 俺は自分に言い聞かせた
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