炎火《ほむらび》

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すると、にわかに空が薄暗くなりぼんやりとした 姿が現れた 子供を抱き真理が立っていた その姿は優しい光に包まれ徐々にハッキリと 姿を現わした 「真理 真理なのね 会いたかった真理〜」 「真理父さんだ分かるか?」 「お父様 お母様私も会いたかった 海斗のお陰で普通の姿に戻る事が出来たの 海斗 ありがとう」 「姉さん良かったね」 「真理 その子が私達の孫なのね 顔を見せて」 「良く見てお母様 男の子よ」 「まあ 何て可愛い 私達の孫 抱いてやりたい」 「私も抱かせてあげたい でも出来ないの 時空が違うから ごめんなさいお母様」 「真理にも触れる事が出来ないのか?」 「お父様ごめんなさい」 「すぐ側に居るのに触れる事も出来ないなんて 真理を抱きしめたい 孫をこの胸に抱きしめたい」 「私も思い切りお父様とお母様を抱きしめたい」 「姉さん思い出してみろ 生きていた時の あの感触を 父さんと母さんの暖かくて優しい感触を」 「海斗..... 感じるわ 暖かくて優しい感触」 「お父様お母様感じるでしょ私を」 「ああ真理 感じるわ 真理を感じる 私真理を抱きしめているわ 孫を撫でてる 柔らかい頬 小さな手 可愛い孫」 「ああ本当に何と小さな手だ 柔らかい頬 私達の孫だ 真理 私も真理を抱きしめている ずっとこのままで居たいよ真理」 「もう時間が無いの 今迄本当にありがとう お父様 お母様 海斗 海斗2人を大切にしてあげてね 私が独り占めした お父様とお母様だけど これからは 海斗が愛されて幸せになってね」 「姉さん ありがとう 姉さんと子供の事 忘れないよ」 「みんな本当にありがとう もう行かないと さようなら ありがとう.....」 「おぎゃ おぎゃ.....」 「今 ハッキリと孫の泣き声が聞こえたわ真理〜」 「ああ聞こえた真理〜」 「姉さ〜ん 真理姉さ〜ん」 真理の姿はスーと光と共に消えて行った
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