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「おばあちゃんもいるし、お店の常連さんも多くはないけどそれなりにいるから、私がいなくなっても大丈夫だろうって思ってたけど、……寂しがるかなぁ」 「そりゃ、寂しいでしょ、僕から見てもマスターが麻子さんの事本当に可愛がってるのは伝わってくるし」 「……そうだよね」 「でも、だからこそ、マスターは麻子さんの事、何があっても一番に応援してくれると思いますよ」 「……そうかな」 「そうですよ。だから、麻子さんの気持ちをそのまま伝えれば良いと、思います」 「そうだね。うん、ありがとう」  思い上がってはいけない。  だけど、そう言って僕を見つめ返す熱を帯びた瞳にどこまでも冷静でいられる程、僕は大人ではなかった……。  会計を全額出そうとした麻子さんとレジ前で押し問答をして店員さんを少し困らせた後に居酒屋を出ると、もうすぐ四月とは思えない気温の低さに一気に酔いがさめる。 「寒いねぇ」  隣で麻子さんが肩をすくめて両手を擦り合わせる。  出来ればもう少し、アルコールのせいにしておきたかった。  そっと麻子さんの手を握る。 「……うち、近いんで、……来ます?」 「…………」 「……ダメ?」 「……いつもはちょっとクールで、年齢の割に落ち着いてるなって思ってたのに、そういう顔も、するんだね、……なんか、ずるいな……」 「……今頃わかりました?そうですよ、俺ずるい男ですよ……」
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