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 卒業する四年を中心とするバンドが入れ替わり立ち替わりステージに上がる。  この日のための即席バンドも多く、もう何バンド目かわからない。  僕も掛け持ちしていたバンドや、最後だからと頼まれて組んだ今日一度きりのバンドを終え、残すはアヤノ達とのバンドのみ。  卒業ライブはもう終盤だったが、麻子さんの姿は、まだ見ていない。  ライブハウスの中は暗いとはいえ、そんなに大きなハコでもないので見逃す事も無い。  ステージ上のバンドが終わると、次は僕らの番だ……。 『結局最後の最後までトリ出来なかったなぁ、それだけは悔いが残るけど、……でも、四年間、ほんとに楽しかった、みんなありがとね。……最後はみんなのために、歌います』  アヤノがエレピの音に変えてイントロを弾き始める。  キャロル・キングの『You've Got a Friend』、こんな曲を最後に選んでおいて湿っぽく終わりたくないからとアレンジはダニー・ハサウェイのバージョンにしたけど、アヤノはしっかり泣いていた。  泣いて歌えなくなったアヤノの代わりにみんなが歌ってくれてアヤノは余計に泣いてしまった……。    ステージを降りてもまだ涙の止まらないアヤノは慕ってくれている後輩の女の子達と抱き合ってさらに泣いていた。  もともと感情の起伏の激しいやつだけど、ここまで感情を爆発させている姿を見るのは初めてだな。  さすがに僕も涙を流す、とまではいかなかったが、ステージ上で込み上げてくる物があった。  だけど、ライブ中もライブが終わった今も、どこを見渡してみてもやっぱり、麻子さんの姿は、見当たらなかった……。
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