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#3
『ガンボ』の閉店時間まであと約一時間、麻子さんには店内で待っていてと言われたが、マスターや他のお客さんの手前遠慮させてもらった。
その間近くの有名チェーン店のカフェで時間を潰す。
ここは完全禁煙なので一時間タバコが吸えないのは正直辛い、が、ついさっきの麻子さんとのやりとりと、これからの時間に思いを馳せると待つ事はまったく苦では無かった。
……どういうつもりで僕を、誘ってくれたのだろう。いやが上にも期待してしまう。
だけど、期待通りになったところで、僕らはもう……、いや、今はそれは考えないでおこう。
どうせ、なるようにしか、ならないのだから。
返却口に使用したカップを下げてカフェの外で待っていると、ほぼ予想していた通りの時間に麻子さんがやって来た。
「ごめんね、待ってもらっちゃって、……急に誘って、本当に迷惑じゃ無かった?」
「全然、むしろ大歓迎ですよ、どうせ帰っても一人でコンビニ飯なんで。……どこ行きます?」
「どうしよっか、この辺結構お店多いもんね」
大学の近くだから安くてうまい店は確かに多い。だけど、その分知ってるやつに遭遇する確率も高い。
「……ちょっと歩くけど、良い店あって、ちょっとおしゃれな感じの居酒屋ですけど、どうですか?」
「いいよ、私居酒屋大好き」
なるべく冷静でいたいのに、……ふいに笑顔でそういう事言うの、止めてほしい。
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