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「そんなに心配なら、おまわりさんがいるから相談してみる?」  乃蒼は仁汰の家のそばにある島の掲示板の前を指さした。その前にいたのは、仁汰のスニーカーを届けた時にずっとスマホをいじっていたベテラン警察官の木下さんだ。  彼は掲示板から、展示物をはがしている。手に持っている紙を見た咲那は、思わず叫んだ。 「ちょっと、なにしてるんですか!」  咲那は乃蒼の手を振りほどき、彼の持っていた紙を奪い取る。  その紙は失踪したアスカを探すポスターだった。彼女の顔の印刷されたポスターを咲那は抱きしめた。 「ああ、このポスターはいらなくなったから」  木下さんは顔をポリポリ搔きながら、眠そうに言った。あくびをこらえるような顔をしていた彼は、思い出したように咲那の顔をじっとり見る。 「君たち、同級生だよね」 「なんのことですか?」  咲那は不快感のある視線に眉をひそめる。 「竹田アスカちゃんが見つかったんだよ」  彼は咲那が抱きしめるポスターを指さして言った。  失踪した父親が帰ってきた。行方不明だった仁汰が帰ってきた。そして、ずっと待ち続けていた友人が見つかった。信じられないことが立て続けに起こる。  これも夢だろうか。夢のような出来事に足元がふわふわしながら、咲那はその日一日を過ごした。 【七つの悪夢と七つの試練】  アスカが帰ってきたことが嬉しいはずなのに、咲那の頭に浮かんだのは、白昼夢で聞いた仁汰の言葉だった。
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