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【四日目】
楽しかった夕食の余韻に浸りながら、咲那は自室で黙々と宿題を進める。最近は寝不足で頭が働かないこともあって、課題がたまっていた。
深夜零時を過ぎたころ、ようやくすべて終わらせてノートをリュックに収める。そろそろ寝ようと咲那は伸びをすると、開けっ放しだったカーテンを閉めた。
スマホを見ると、何度か乃蒼から連絡があったようだ。まだ起きているだろうか。彼女に電話をしてみるが、プツプツとスマホから聞こえてすぐに切れてしまう。
「うそ、もしかして壊れた?」
島に越してきてから、咲那のスマホはずっと同じ機種だ。周りの子たちよりも古い機種だが、母親に新しいものを買ってもらうのは心苦しい。
なんとか直せないだろうか。充電器に挿してみるが反応しない。苛立ってベッドに投げようとした時、とつぜん部屋の電気が消えた。
カーテンを開けると、外は真っ暗だった。近所の家の電気だけでなく、街灯も消えているということは停電だろう。スマホの画面を明かり代わりにしようとしたが、本格的に壊れてしまったのか電源すらつかない。
諦めて咲那は暗い家を手探りで一階まで降りた。
「お母さん、停電みたいなんだけど」
裕子と圭吾が寝ている和室に向かうと、引き戸が開いていた。部屋をのぞくと、空の布団が並んでいるだけで二人ともいない。
リビングものぞいてみたが、誰もいない。
どこに行ったのだろうか。
「お母さん?」
呼びかけるが返事はない。
「お父さん!」
やはり声は帰ってこなかった。
どこに行ったのだろうか。二人の寝室をもう一度のぞいたが、両親の姿はない。
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