クソゲーム

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そこには190cm以上あるだろうか、長身の黒スーツを着た男が3人立っていた。 「おはようございます。たった今強制シャットダウンが実行されました。」 「え?」と言う暇もなく、男は懐から拳銃を取り出し、躊躇うことなく俺に向かって撃ち放った。何が何だか分からないまま意識が遠のいていく。 「人生ハソンナニあまクナイ、ヨ?」 かすかにそんな捨て台詞が聞こえた。   「はーぁ、なんだよこのクソゲー!全然面白くねぇ!」 時は2XXX年。この時代で流行ったのは、過去の人間に完全に同化し、生活を体験することができる《人生》というゲーム。同化される人間はランダムに選ばれ、またそこで過ごした時間は、現実では圧縮される。  「ユウトー!ゼン君来てるわよー!」 1階から母親の声が聞こえる。 「今行くよ!」 バタバタと慌ただしく階段を降りていく。  「おい!騙しやがったなァ!オラ!」 「いきなりなんだその口調は、そんな野蛮な時代に行ったのか?」 「クソゲーじゃねぇかよ!なんであんなクソニートおっさんにならなきゃいけないんだ!」 「ランダムなんだから仕方ないだろ?お前が先人の知恵を借りて金持ちになりたい、なんて言うから教えてあげたのに」 「チッ、良いアイデアだろ!、実際!」 ゼンは得意げに、決め顔で言った。 「人生はそんなに甘くない、ってことさ」
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