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牛も少し苦しそうだ。
どうしてこんな造りにしたのか。
平らであればもっと楽だったろうに。貴族がこれだけ集まり、誰も進言しないのが不思議である。
この向こうは御所、そして内裏だ。
御所は広大だ。
まず、大垣の内側をかためるようにして、諸官庁の庁舎が並んでいる。御所の中で一番賑やかなのはここで、景樹たちの他にいくつも車が停まっていた。
賑やかと言えど、そこは貴族。
交わす声は霧の流れる音より静か。時折上がる笑い声は、耳がくすぐったくなるような細やかさ。
横を通りかかった男の袖から、甘い香りが舞った。
彼の役職は分からないが、なんとなく、できる感じがした。
ざりざり、ざりざり。
砂利を踏んで、車は進む。
庁舎を超えると、今度は諸官庁を管轄する省庁の庁舎が現れる。
今までより年配の男が目立ったが、髪の筋1つ、肌理1つとっても傷みが感じられない。
使っている香も甘さより柔らかさが目立つ。
更には管弦の音や、唄を詠む朗々とした声までしていて、ある種の余裕がたゆたっていた。
ここは仏の住処か。
しかし神の住処は更に内側なのである。ここから国家行事に使われるお堂、その際に使われる宴会場、そして殿舎が並ぶ。
余談だが、御所にはいくつもの門があり、景樹たちはこれをひとつひとつ突破していかなければならなかった。
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