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緑色のあいつとオレンジ色のあいつがタップダンスを踊っている。俺はそれを椅子に拘束されながら眺めている。ニヤついた顔でこちらを見てる。見るな、見るな。俺の手を不自由にしている縄をどうにかちぎれないかと力を込めるもミシミシと嫌な音を立てて何故だか拘束が強くなっていっているような気がしなくもない。
縄に目を向けているとふと、俺の顔に影がさす。嫌な予感がして視線をそちらに向けると目の前に緑のあいつとオレンジのあいつが迫っていてさぞ愉快ですとばかりに笑ってきた。
「うわぁぁぁぁあ〜〜!!!!」
耐えられなくて悲鳴をあげた、瞬間
ゴツンッ
「いっ…」
頭にでかい衝撃がきて、パチッと目が覚める。頭の真上から垂直に降りてきた衝撃のせいで机に顎を強打した。ズキズキと痛む顎を押さえてのそりと起き上がれば目前にいるのは緑とオレンジの奴ではなく見慣れたホストみたいな顔
「おはよう二川…俺の授業はそんなによく眠れたか??涎を垂らされたお前のノートの気持ちは考えたことがあるか??」
起きた瞬間に質問攻めにされるのは話が違う
まだ若干回らない頭で青筋を浮かべた担任を見る
「俺、涎でてたんすか」
「ノートを見てみろ」
「うわ…」
指摘された通りノートは俺のヨダレで若干よれている。汚い。
「罰として今日のクラスの日誌お前が書け」
「それって日直の仕事じゃ」
「日直には別の仕事を任せる」
「俺が書いても字が汚いって言うじゃないすか」
「拗ねてんのか?」
「いや別に」
「字は綺麗に書くように努めろ。汚かったら書き直しさせっからなてめぇ。あと授業聞け」
注文が多いなとげんなりしていれば担任は教科書を片手に持ったまま教壇へ戻って行った。
黒板には俺がさきほど考えることを諦めた数式の答えが書かれている。それをサラサラと涎のノートにうつして窓の外を見た。
窓の外はもう緑の葉が生い茂っていて風にのって葉っぱが地面にヒラヒラと舞い落ちていく。ぼおっと眺めていればまた睡魔が襲ってきてくぁ、と欠伸をした。眠気を誤魔化すために俺は軽くペンをくるくる回して再び説明を始めた担任の方を見やった。
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