青春の輝き

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「オレ知らないよ」  樹は困ったような顔でその場に立っていた。  パーティーは立食形式になっており、きらびやかに盛り付けられた料理が所狭しと美しい皿の上に並んでいる。  取り皿に載せ、少しずつ口へと運ぶ。  ホテルの食事だけあって本当に美味い。  昇太と忠士と樹は、味の感想をわちゃわちゃ言い合いながら会場を廻っていた。  同級生全員が参加したわけではなかったが、思ったより大勢のメンバーが来ているようだ。  忠士と同じく結婚した者、子供がいる者、会社を興して社長になった者など色々だった。 「樹は何してんの?」 「オレはバーで働いてるよ」  樹はオールバックの同級生・昭久と会話しながら生ハムのサラダをトングで挟んだ。 「へぇ~?バーテンやってんだ?貿易会社に就職したって聞いたけど違うの?」 「あ~、辞めたんだ。てかさ、バーテンじゃなくて、『バーテンダー』な。良かったら今度来てよ」  久しぶりに会う同級生たちとの会話。  懐かしさとくすぐったさが同時に感じられて面白い。  みんな見た目は大人になっているが、口を開けば一緒にわいわいやっていた頃に一瞬にして戻れる気がする。 「青島くん、バーテンダーだなんて似合いすぎてビックリするね」 「うん、蝶ネクタイ付けてシャカシャカしてんの~?」 「今度あたしたちも行ってい~い?」  ヒラヒラのワンピースを着た女性が三人、樹に話しかけている。  こちらも同じクラスだった、ユキ、サチエ、ミサ子だ。 「お待ちしてます」  和やかに笑顔を交わし合う五人。  昇太がそこへ面白そうに首を突っ込んできた。  ミュージカルのような動きが寒々しい。 「おやおや~、お嬢さん方。ご機嫌いかがですかな~」  その言葉にきょとんとした顔でお互いの顔を見合わせる女性三人。 「樹のことをターゲットにするのはやめて、オレにしときなよ」  三人は、昇太の冗談のような言葉に大笑いしている。 「なんで笑うんだよ!」 「誰も青島くんを狙ってここにいるわけじゃないよ」  ユキが言った。
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