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──そもそも、「俺のモノだ」ってなんだよ。今じゃもう、草食獣人のクセに肉食獣人の俺よりも遥かに大きくなっちゃったし。牽制するも何も、国民的アイドル様の膝の上に俺が乗っかっていたら、牽制どころかリオンにとって悪影響しかないよなあ。
今さらながらまずい、と悟ったライアーは慌ててリオンの膝の上から降りる。
しかしリオンは降りたばかりのライアーの腰をすぐさま摑み、再び自身の膝の上に乗せた。
「リオン、もうそろそろこれはやめよう」
がっしりと腰を掴むその手を必死で払おうとするが、リオンの力が強すぎてびくともしない。仕方がないので、全身を使ってリオンへ抗おうとする。
「やだ。どうしてやめようなんて今さら言うの?」
目の前で暴れるライアーへ涼し気な表情をしたリオンが聞き返す。
「考えたけどレオの言う通り、アイドル様の膝の上に俺が乗っかるなんて恐れ多いよ」
「なんでアイドルだと恐れ多いの?」
女性獣人受けする甘い顔がぐっとライアーへ迫り、ごつんと軽く額同士がぶつかり合う。
「俺たち幼馴染だし、そもそも最初にこうして膝の上に俺を乗せてくれたのは、ライアーだったよね?」
眉間に大きく皺を寄せたリオンが、めずらしく頬を膨らませていた。
形のいいベージュの眉、長い睫毛、黒真珠みたいなうるうるとした瞳、そして長くすっと通った鼻筋。
機嫌が悪そうなのに、まるで人形のような奇跡の顔にライアーはどきっとしてしまう。
──こんなふうにかっこよく成長するなんて反則だぞ。
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