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ライアーが小学生に上がる少し前、世間では肉食獣人による草食獣人差別撤廃の法律が可決された。
それまで明確に分けられていた居住区域の境目はなくなり、実質どちらの種族の獣人も、制限なく自由に行き来できる世の中となった。
それはライアーが進学した小中高一貫教育の学校でも同じ。
「みなさん、入学おめでとう。これから九年間、肉食獣人のお友達も草食獣人のお友達も共に思いやりを持って、支え合っていきましょう」
初めてライアーの担任となったヒツジ獣人のメアリー先生は、わかりやすくクラスのみんなに種族差別の撤廃をそう呼びかけた。
幼稚園や家の周りにはそれまでいなかった草食獣人の先生、そして同い年のお友達。
新しい世界はライアーにとって、なにもかもがキラキラして見えた。
──すごい! 肉食獣人のお友達とはまた違う甘い匂いがする! しかも小っちゃくて、かわいい!
見たことのないかわいいお友達の姿に、たちまちライアーは虜になってしまう。
とりわけ草食獣人の中でも目を惹いたのは、偶然隣同士の席になった、黒真珠のような大きな瞳とベージュの垂れた長い耳を持つ草食獣人だった。
──なんていう種族の獣人なんだろう。そしてこの子は女の子かなあ?
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