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敬愛する作家の生家は現在、記念館になっている。
そこに行くのは2日目に取っておき、1日目は別のところへ行き満喫することにした。
まずは氏と同郷であるM詩人の記念館へ、その次はとある伝承の残る寺へ。
記念館は少し奥まったところにあり、危うく迷いかけたが……
人に尋ねながらなんとか辿り着き、飾られている展示品の数々を深く味わい観賞が叶った。
しかし一方で、次に行くつもりだった寺にはどうにも辿り着けず……散々歩き回った末、M詩人の記念館で使っていた館内のボールペンを間違えて持って来てしまっていたので、引き返し諦めざるを得なくなってしまったのだった。
あとは記念館から少し離れた河川敷から、S川の縁付近で少し遊んでいたりと時間を潰した。
そうしている内に、泊まり先のチェックイン予定時間が近付いたのもあって適度に引き上げて。
再び駅に戻り、Y温泉行きのバスに乗った。
余裕をもって行動した分。
予定より早く着いてしまい、時間まで辺りをふらりと散歩することにした。
小さな土産屋さんから、かつて画家T氏とその恋人が泊まったとされる宿屋。
その近くにはT氏の記念館が建っており、足湯まであった。
その脇には石畳の階段があり、段数に合わせてズラリとぼんぼりが並んでいた。
チェックイン後、ゲストハウスの御主人に尋ねてみたところ。
あの石畳の階段の先に稲荷神社があるのだが、夜は行かない方が良いと教えてくれた。
また、「時間と機会が合えたら、この先にある氷室小屋も訪ねてみて欲しい」とも勧められた。
すぐさま神社に行ってみたかったが、夜となると足場も悪いだろうと考え直し……何よりその時間帯に行くのは気が引けたので、その日の内に行くのは諦めた。
代わりに明日の朝、早めに起きて行ってみようと心に決めて。
その夜は御主人が勧めた温泉へ、他の宿泊客たちと一緒に車で乗せて連れて行って貰った。
他愛ない話の中で、
「この辺りは鹿とかが出るんですよ」
と運転しながら御主人が話してくれた。
運が悪ければ、熊が出ることもあるんだとか。
聞いていた私は「ひょえ〜っ、そうなんですかっ」とやや驚きながら聞いていた。
今、鹿見れないかなぁと呑気に考えていたりもしていた。
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